うつから這い上がったあと、自分のためだけの道具をつくりました
yvaine といいます。
十数年うつと生き、ソフトウェアのプロダクトデザイナーをして、占星術のカウンセラーをして、いまは Yujee をつくっています。
Yujee は、自分を知り、その自分を一冊の本にするための道具です。
なぜこれが存在するのか、その話をさせてください。
十数年の暗闇
重いうつと双極性障害がありました。
小学校から大人になるまで、家庭の事情で、ずっと殻に閉じこもった、孤立した、自信のない子どもでした。
光が差しはじめたのは、大学を出てからです。
卒業後はソフトウェアのプロダクトデザインに移り、ロジックとデザインで問題を解いていく面白さをはじめて知りました。それでも、どうしてもわからないことが一つだけ残りました。人は何のために生きているのか。
十数年、陽の当たらない日々。数えきれないほど、その淵に立ちました。
占星術が支点をくれた
カウンセリングも治療もひと通り受けました。わたしにはほとんど効きませんでした。
そのうち占いに近づいていきました。西洋占星術、四柱推命、紫微斗数。どこへ行っても、あの問いに答えてくれる人はいませんでした。
好奇心に押されて、自分で占星術を学びはじめました。学びながら使い、使いながら学び、気がついたら占星術のカウンセラーになっていました。
深く入っていくほど、自分のうつがどこから来たのかが見えてきました。貧しくてみじめだった子ども時代とも、そこでようやく和解できました。
占星術を勧めたいわけではありません。わたしを本当に助けたのは、それが立つ場所をくれたことでした。自分を外側から眺められる角度です。ノースノードという言葉が、わたしにとって意味するのはそれです。
その後は占星術と心理学を合わせて、まわりの人を手伝うようになりました。思っていたより、ずっとよく効きました。立つ場所さえあれば、人は自分の人生を動かせます。
13 歳の女の子
13 歳の女の子に会ったことがあります。両親は何年も遠くで働いていて、彼女は親戚に預けられたまま、学校へ行かなくなっていました。
どうしても助けたいと思いました。わたし自身が、そうやって育ったからです。
けれど、その依頼は受けませんでした。人を泥のなかから引き上げるには、途方もない時間と気力がいります。当時のわたしは仕事に埋もれていて、自分の生活も抱えていて、できませんでした。
このことは、ずっと胸に残りました。彼女のような子のほとんどは、カウンセラーを頼めるお金がありません。そして、生身の人間に向かって口を開くことも、なかなかできないのです。
AI のカウンセラーをつくりました
ちょうど ChatGPT と Claude が出てきた頃です。丁寧にチューニングすれば、AI は初級から中級の占星術カウンセラーとして働けることがわかりました。カウンセリングと占星術、その両方をこなせるのです。ソフトウェアデザインで積んできたものが、ようやく行き先を見つけました。
2024 年、SNS で AI タロットをつくっていた CC と出会いました。2025 年にそのチームに入り、まる一年をかけて、じゅうぶんに安く、長く寄り添えるほど辛抱強く、個人的な偏りのないカウンセラーへと AI を育てました。
それは、形になりました。
けれど、人とその AI カウンセラーがどう関わり合うのかを一年間まぢかで見ているうちに、別のものが見えてきました。
美しい想像は、脳にドーパミンをくれます。でも何も着地しなければ、何も前に進まなければ、結局はざるで水を汲んでいるのと同じです。そのあとに残る空っぽさは、前より痛い。
だから、どこかに着地しなければいけません。
カウンセリングは答えではないし、終着点でもありません。自分を見つけられない時間が長く続けば、カウンセリングもまた一種のドラッグになりえます。じわじわ依存していく類いの。
なぜ「本」なのか
心理療法の資料をずいぶん読みました。アートセラピーや表現的ライティングは、うつや迷いの状態にはっきり効きます。手を動かして書く、描く。それが、空回りしつづける思考のループから人を引きずり出して、身体のほうへ戻してくれます。
ありていに言えば、つくることは痛みをやわらげます。そして、自分をつくり直すのに本当に役立ちます。
数えきれない相談のなかで、もう一つ見えたことがあります。好きでもない人のそばにいて、好きでもない仕事をして、何年も迷いと痛みのなかにいる人がとても多い。その根っこにあるのは、ほんとうの自分を知らないことでした。何がほしいのか、何が耐えられないのか、何が得意で、何を大切にしているのか。どれもはっきりしていません。
そういう理解は、ある日の午後にひらめきとして降りてくるものではありません。磨いて、見つけて、壊して、また確かめる。それを何周も繰り返して、ようやく形になります。
そして「つくる」ということでいえば、自分だけの一冊の本より心を引くものを、わたしは思いつけませんでした。
本は、あなたの人生を見えるものにします。そして何年か経って開いたとき、ここまでの道のりに、意味のある瞬間がこんなにもあったのかと気づきます。よかったこと、そこで育ったこと、痛かったこと。
実際に生きてきたその中身こそ、あなたという木にみのった、いちばん価値のある果実です。
Yujee とは
2026 年、その衝動をもう抑えられなくなりました。
使う人のためだけにある製品をつくりたかった。リテンションの駆け引きも、フックも要りません。仕事は一つだけ。自分を知る手伝いをして、それを残すこと。
Yujee はそこから生まれました。中国語の「遇己」は、自分に出会うこと、そして自分を御することを意味します。
やり方はとても具体的です。散らばった写真と言葉を、開くことのできる一冊の本にします。そして自分の人生を選び、並べていくうちに、自分が誰なのかがもう一度見えてきます。
いまの Yujee にできること:
- 写真を自動で整理し、似たものをまとめます
- ドラッグ操作なしで、本のレイアウトまで仕上げます
- 文章を助けて、断片をひとつづきの物語にします
- ワンクリックで共有でき、大切な人に読んでもらえます
ひとりでつくりました
Yujee は最初から最後まで、わたしひとりで書きました。学びながら、つくりながらです。昔システムインテグレーションで身につけたアーキテクチャの知識は、いまのところまだ通用しています。この先はわかりません。
二か月ほとんど眠らずに、自分で使えると思える最初のデモを出しました。7 月には 20 人の初期ユーザーが感想をくれて、そのまま直しつづけています。
ひとりで全部やるのは、楽ではありません。まだ粗いところもたくさん残っています。力が足りていないところもあれば、順番がまわってきていないところもあります。それでも、この一つのことだけは、どうしてもちゃんとやりたかったのです。
いまの Yujee は、まだとても小さなバージョンです。あなたの何かをすぐに変えられるとは限りません。それでも、この頑固さを込めておきたいと思っています。
使っていて引っかかるところや、こうしてほしいという要望があれば、Discord で直接教えてください。support@yujeeai.com へのメールでも、X の DM でもかまいません。全部読んでいます。
あなたも、自分の生命の樹をしっかり握って、心のいちばん奥にいる自分に出会えますように。